そのパンは誰の為にこだわってますか?
ふと思いついた話です。今回は完全フィクションなので実際にそのパン屋さんはいませんので。あしからず。
生産者は何の為に、何にこだわるのか?というお話です。
「一斤450円糸島産小麦使用」のこだわり食パン
直売所では地域で有名なお店の加工品を買うことができます。
加工品の中で人気の一つが「パン」です。糸島市内にもパン屋さんがたくさんありますが、今回はフィクションのお話です。
「一斤450円糸島産小麦使用の食パン」が販売されていたとして考察しましょう。まず、価格ですが一斤450円は普通の食パンと比べると非常に高いです。安ければ110円前後で販売していますし、デパ地下の食パンでも350円前後で販売しています。
次に原材料の「糸島産小麦」です。糸島では小麦の栽培が盛んで収穫前になると、金色の小麦畑が広がって目を楽しませます。
地元糸島の小麦を使用してお客さんを楽しませよう。地元の美味しい食材をアピールしたいという心意気が感じる事ができます。
この食パンは一般のスーパーへの卸はしていません。近くの直売所に数日に一回不定期で、5袋程度納品しているだけです。大量生産をしていませんので、数量は限定です。もしかしたら、大量に作ると品質に目が行き届かないのが理由かもしれません。
この食パンで喜ぶのはどのようなお客様か?
今、述べた状況は全て仮定です。細かい所は何となく想像しやすいように、付け加えました。実際にこういうパン屋さんはありそうですよね。
さて、私たちが考えないといけないのは、この食パンを購入して喜ぶお客様はどのようなお客様かと言う事です。
まず、価格についてです。450円の価格設定は生産者だって高いとわかっているはずです。お客様もこの金額の食パンを喜んで購入する方は少数でしょう。
価格が高くなるのは主に、原材料費と人件費でしょう。人件費に関しては大量生産をしないので、一斤あたりにかかってくる経費が高くなりがちです。
次に糸島産の小麦ですが、これは喜ぶお客様はいらっしゃるかもしれません。というよりも、糸島産の小麦っておいしいの?って試したくなる方がいるかもしれないですね。
あるいは、糸島の農家を応援するために「糸島の小麦」を消費しようと考えるお客様もいらっしゃるかもしれません。そのようなお客様の事を考えれば、糸島産にこだわる必要があります。
生産者は何にこだわるか?
このような少ない情報ですが、考えてみると生産者は「誰を喜ばせようか」と考えて生産をしないと矛盾した(コンセプトがボケた)商品になりそうです。
仮定のパン屋さんが、美味しいパンを食べてもらおうと思った場合に考える事は「糸島産小麦」が美味しいのかどうかを検討する必要性がありそうです。
「みんなに食べてもらいたい」と考えた時には現状の価格は高すぎます。
「糸島産の小麦をアピールしたい」と考えているなら、現状パンでいいかもしれません。しかし、一般的な感覚として糸島の農家を応援したいと思って、糸島産小麦を使用したパンを購入するお客様は少ないと想像できます。
直売所のこだわり加工品たち
今度は現実の話です。
糸島市内の直売所では弁当・惣菜、お菓子、パンなどの加工品が沢山販売されています。その中でもこだわりをもって作っている生産者ばかり(のはずですが…)です。
傾向ですが「◯◯産」と材料にこだわっている生産者は、販売価格が高い傾向にあります。
価格だけで話をしてしまうと、高めの価格設定は売れ続けるのは難しいのが現状です。それは、私達直売所のスタッフが美味しいと思っている商品ですら、売れにくい傾向があります。
糸島の直売所の場合には売れ続けている商品は「価格は高くなく」、「糸島ならでは」、「おいしそうに見えるパッケージ」です。
具体的には「鯛めし」がすぐにおもいつきます。
意見を聞き改良する事の大切さ
まずは作ってみて、販売すると言う姿勢は間違っていないと思います。その次にしないといけない事は、直売所のスタッフやお客様に「意見」を求めると言う事です。
勿論、生産者が自分で試食等をして販売しているとおもいます。ですが、売れつづけるかどうかはお客様の反応を見ながら調整していかないといけないと思うのです。
ニーズのないこだわりは意味がない
お客様のニーズのないこだわりはあまり意味がない、と言う事は頭に入れておいた方がいいでしょう。
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