直売所の手数料一律は公平か?
いとしま太郎はふと考えました。あんなに朝早く起きて葉物野菜を包装して持ってくるおばあちゃんと、昼前にゆっくりとみかんを持ってくるおじいちゃんは手数料が一緒なのは公平なのかと。
みんなに平等は実は不公平
何となく以前から私は気になっていたのですが同じ野菜でも手数料率違ってもいいよなぁと。だってすごく希少な「芥屋かぶ」が糸島市内の直売所にあればそれだけで糸島らしいのですが、普通のかぶと手数料率は全く一緒なのです。
当たり前ですが普通のかぶを出荷する生産者は沢山いるわけです(最近はかぶと大根多すぎ…)。芥屋かぶの出荷者は少ないですね。地域の物をアピールしている直売所にしてみれば明らかに「芥屋かぶ」を出荷している生産者を優遇した方が直売所のアピールになるんですよね。
スーパーでは野菜によって値入率が違うのは常識
当たり前(と私は感じている)ですがスーパーでは値入率が品目によって違うんです。
下の表は2018年11月9日の福岡の小売価格の状況をベジ探にて確認したものです。全て1kgあたりの価格になります。
野菜名 | 売価 | 卸値 | 値入率(%) |
キャベツ | 176 | 101 | 57 |
白ネギ | 1027 | 534 | 48 |
はくさい | 229 | 71 | 68 |
タマネギ | 208 | 104 | 50 |
青ネギ | 2057 | 534 | 74 |
1kgあたりの単価が直売所よりも高い低い事より値入率が違う事に注目してください。直売所では委託販売が殆どになりますので値入率ではないのですがこれを販売手数料として考えてみるといいと思います。
タマネギと青ネギの値入率は随分違いますね。このようにスーパーでは品目ごとに値入率が違う事は常識なのです。
値入ミックス戦略でお店の特色を出せる!
スーパーでは値入率を品目によって変える事でどういった効果が期待できるのでしょうか?
それは価格戦略でお店の特色を演出しやすいところにあります。スーパーは仕入れて値入を低く抑えて特売商品を作ってそれによって消費者に安さを訴求する事があります。そして消費者をお店に呼び込み特売商品以外も購入してもらう方法もあるのです。
これによって値入率が高い商品も消費者に一緒に買ってもらい全体としての値入率(原価率)を安定させる方法があります。これを値入ミックス戦略といいます。
品目別手数料は技術的には可能だが…
最近はある程度の直売所の規模になるとPOSシステムを導入している事業者が殆どだと思います。数社の直売所用のPOSシステムしかわかりませんが品目毎の手数料設定が可能です。
手数料率を変化させることにより出荷量や需要の少ないものを出荷してもらうなどの政策が可能です。
技術的に可能だが踏み込めない3つの理由
技術的には可能なのになぜ運営側(直売所側)がそういう政策をとらないのでしょうか
①運営側(直売所)が管理しきれない
まず私が一番に思い付く理由は運営側が管理を十分にできない可能性があるからだと思っています。
手数料率を品目ごとに変えるとその管理が負担になってきます。POSシステムが直売所の発達に貢献したのは間違いなく事実ですが、パソコンの知識が十分でない担当者も多くいますので手数料の管理だけでも相当の負担になります。
②多くの直売所は現状維持のバイアスがかかる
二つ目の理由として考えられるのは現状から変えたくないと思っている生産者が殆どだからです。
もし直売所側の政策に不満があるようならその生産者はすでに出荷をしていないでしょう。現状で出荷している生産者がいるのならばその生産者には現状の状態が一番居心地がいいのです。
生産者は店全体の売り上げの事や、将来のビジョンには興味がないのです。極端な言い方をすれば自分さえよければそれでいいのです。
③運営側にどのような店にしようかとのビジョンがない
これは一概に悪いと言っているわけではないですし、こうしたアイディアが当初から設定されていない事も十分にあり得るでしょう。
現状である程度生産者の収入になっているのならば、それで問題がないと思っている直売所が殆どです。意識がなければ対応する必要がありません。
値入率が高い品目の生産者は直売所で得をする可能性がある
少し話が反れてしまいましたが結局、直売所では現状でどういった生産者が「割と」得をしている可能性が高いのでしょうか?
先ほどの表でいうと値入率の高いアオネギを出荷している生産者が割と得をしている可能性が高いと考えます。但し価格が値崩れしないという前提があります。
アオネギを多く出荷する農家が多くなれば価格の下方バイアスがかかってしまいますので結局あまり得をしないと言う事が考えられます。
まとめると現状では「手数料一律」は平等のようなイメージがありますが実は不公平という可能性があります。
これに弁当などの加工品を加えるともっと話が広がってしまいそうなので今日はこれまでにしておきます。改めて考察してみます。
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